■素直になれる3:心斎橋マリーシンシア 宮崎 明
披露宴もお開きに近づいて来たとき、私は会場の雰囲気を和らげようと、今日の結婚式に至るまでの、新郎と新婦との打ち合わせなどの話を始めました。
新郎は一見乱暴そうに見えるけれど、本当は恥ずかしがり屋で気持の優しい人間であること。
その証拠に、打ち合わせのときは、予算が無いので自分はスーツでもいいから彼女によいものを着せてやりたいと言ったこと。
彼女や彼女の両親が喜ぶことは何でもしてやってほしい、お金が足りなくなったら残業でも何でもして後で支払うからと言った事などを話しました。
ただ新郎はうれしさの表現が極端に下手で、皆さんにご迷惑をかけている結果になった事をどうか大目に見てやっていただきたいと申し上げました。
花束贈呈が行われてからは、両家代表の謝辞を新郎がすることになっていました。
そのとき彼は、今までひたすら新婦を愛していたのだが、結婚を認めていただけなかったのは自分に原因がある。
しかしこれからはもっと落ち着きのある、そして責任のある男になることを泣きながら誓いました。
会場からは、拍手と激励の言葉があちこちから聞こえました。
最近では、披露宴での花束贈呈を好まれない方が多くなりました。
実際、ショー的にするのであれば、いっそ無いほうがよいのかも知れません。
しかし贈呈の瞬間、自分の気持ちに素直になれる人がたくさんいらっしゃることは事実です。
この新郎のように、自分の気持ちの表現が極端に下手であっても、今までの気持を瞬時に、そして勇気をもって伝えることが出来るのはこのひとときだと思うのです。
挙式が近づいたとき、今一度ご自分の気持ちを整理なさって、伝えたい事が有るのであれば花束贈呈をなさることをお勧めします。(おわり)
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